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2006年07月31日(月)
EVジムニー「SJ12001」号PHEVバージョン走行テスト

持続可能な車社会を体現する4WD-EV冒険チーム「ZEVEX」。
マイナス30度でわざわざ自然エネルギーから作った電気を充電して走ってしまうような、かなり浮世離れした集団ではあるが、浮世離れは浮世離れなりの車社会に対する「見識」を持っていて、プリウスに代表されるようなハイブリッド自動車がもはや「普通の車」になった現在において、我々が近未来の最終形と考えるピュアEVの時代(22世紀くらいになったらまた変わるのかもしれないが)への「橋渡し」になるのがプラグイン・ハイブリッド自動車(PHEV)だろうと考えている。

考えたことは「額に汗して体現する」のがZEVEX流だから、我々もPHEVを作って実際に日常の足に使ってみることにした。
学者じゃないからできることはドンドン実行する。
ゴチャゴチャは言わない。
それが「冒険者」のスタイルだ。

まずPHEVの定義をはっきりしておくと、内燃機関と電気モーターの両方を使って動く混血駆動システムを持つ自動車だからハイブリッド自動車。
これには

A)内燃機関をモーターがアシストするだけで、モーターだけで走るモードは持たないパラレルハイブリッド車(ホンダ・インサイトやその他多数)
B)内燃機関は発電に徹して、駆動には100%電気モーターを使うシリーズハイブリッド車(トヨタ・コースター)
C)時に内燃機関だけ、時にモーターだけ、時に両方...と走行環境に応じて内燃機関とモーターを自在に使い分けるシリーズパラレル・ハイブリッド車(トヨタ・プリウス...そもそもこの呼称トヨタの造語か?)

の3種類あるが、A・B・Cのシステムで二次バッテリーを持つ場合(AとBは二次バッテリー無しで成立させることも可能)に、その二次バッテリーに外部コンセントから充電可能なシステムを搭載したものを充電(プラグイン)可能なハイブリッド自動車ってことでPHEV(プラグイン・ハイブリッド自動車)と呼ぶ。

設計段階で狙うバッテリーのSOC(充電レベル)が違う...などの細かい問題はあるが、アメリカでプリウスベースに改造・運用されているPHEVの実例では、エンジンが稼動するのは週末くらいで、近距離しか走らない平日はほぼピュアEVとして運用され、ガソリンスタントへ行くのは2ヶ月に1回。
燃費は50km/Lとかとんでもない数字が出て来ることもあるらしい。(もちろん、家の電気代は増えるが)

さて前置きが長くなったが、ERKのレースを控えた7月末、ERKのカスタム作業の合間を縫ってPHEVの走行テストを行った。
我々のPHEVは上の分類に拠ると B)シリーズハイブリッド のPHEVとなる。
運転席の後ろに家庭用コンセントから充電できる充電器を備えているのがミソだ。

この日テストランに選んだルートはEVジムニー1号機「SJ2001」PHEVを保管する第1PIT(川崎市麻生区)から、南極点アタック号(EVジムニー3号機・ARK-2)とERKのPITである第3PIT(神奈川県大和市)間約22kmの往復。
電池を節約してトロトロとした走り方になりがちな電気自動車だが、今回は普通に交通の流れに乗った運転をして、どの程度ガソリンを消費するか?をチェックする。

午前11時、バッテリー満充電の状態で川崎第1PITを出発。
市ヶ尾からズーラシアの横を抜けて第3PITを目指す。
保土ヶ谷バイパスと交差する所まで来てバッテリー電圧が降下を始めたので発電機を始動する。
ハイブリッド走行でしばらく走行した後、交通量の少ない田舎道エリアに来たので再び発電機を停止してピュアEVで走行する。
正午を僅かに過ぎて第3PITに到着。
すぐにコンセントからの充電を開始して、私は大津隊員とふたりでERKの残ったカスタム作業を開始する。

作業が終わったのが午後3時半。
バッテリーは既に90%程度充電されている。
第3PITを午後4時前に出発して同じ道を戻る。
ズーラシアの先まではピュアEVで走行。
上り坂では電圧が下がるがパワーは出ている。
第3PITから15kmを過ぎた地点で道が1車線になるので加速性能を確保する為に発電機を廻してハイブリッド走行を開始。
市ヶ尾駅手前で再び2車線道路に戻るまでハイブリッドで走行し、2車線道路に出て発電機は再び停止する。
市ヶ尾から残りの区間は全てピュアEVで走行し、午後5時第1PITに帰着。

この日の総走行距離は45km。
発電機が消費したガソリンの量は1.15リッター。
燃費は39.13km/L、ほぼリッター40kmだ。
往路をもう少しピュアEVで走行すればリッター50kmの燃費も可能そうだ。
思った以上の好結果に我ながら驚いた。
PHEVが秘めた可能性は凄い。


運転席の後ろに棚を作って置かれた充電器。
家庭用コンセントをこの充電器に繋いで充電する。
100Vでも200Vでも使える。


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