過去のアタック

2005年07月14日(木) 2005年07月15日(金) 2005年07月16日(土) 2005年07月17日(日) 2005年07月18日(月)
2005年07月19日(火) 2005年07月20日(水) 2005年07月21日(木) 2005年07月22日(金) 2005年07月23日(土)
2005年07月24日(日) 2005年07月25日(月) 2005年07月26日(火) 2005年07月27日(水) 2005年07月28日(木)
2005年07月29日(金) 2005年07月30日(土) 2005年07月31日(日)


2005年07月20日(水)
ZEVEXロシア 第5次調査



道の脇には所々にこんな小屋が建ててあって、「ポスト15」の管理棟で手続きをすると鍵を貸してくれる。
中には数人分が寝られるスペースとテーブル、ペチカが有る。

[アタック日誌]

起床は5時。
復路は2日掛かっても構わないが、満潮に重なると「ポスト15」の先の海岸線が通れないから余裕を持って出発する。
ハイラックスは重いそりにドラム缶まで積んでいるので、復路の先頭はコッシーのジープ。
GAZは30分程先に出発して行った。
ポギビ村を抜けて暫く行くと雨が降って来た。
復路も厳しい行程になることが予想される。

2日前に通ったルートだが、前日にKAMAZ製の超大型トレーラー(車幅3m・タイヤの直径2m)が1チーム(4台)通ったので、道の状態は無茶苦茶だ。
トレーラーは木をなぎ倒しながら走っているのか、所々コーナーイン側の木が倒されている。
それは良いが、困るのは水溜りの中に太い丸太が投げ入れられていること。
途中丸太を抱えてスタックすること数回、重いハイリフトジャッキを担いで、泥沼の中の丸太を土台にサイドシルを持ち上げて、挙げた状態のままウインチで引いて脱出。
ヤワなプラスチックバンパーの「今どき」四駆では走破不可能の可能性「大」だ。

午後になって往路で最も時間を喰った、V字とマッドとキャンバーが複合した300m程の区間に到着。
往路はこの300mを約2時間掛かったが、前日のトレーラーの走行でV字が1m半くらいの深さに成長している。
タイヤを落としたらまず横転は間違いない。
先行したGAZもここで待っていて「どうしようか?」としばし皆で思案する。
思案しつつ周囲を偵察したところ、横の沼の周囲が意外と硬くて、そっちに迂回した方が速そうだ...という結論になった。
問題は電気自動車を積んで重くなったGAZだ。
が、往路と違って復路の我々には2月に使ったラダーが2本有る。
とりあえず道を外れて沼の縁をソロソロと進む。
タイヤが沈みそうになった所でバックして、沼側の右2輪にラダーを敷く。
ラダーの威力は絶大だ。
泥に埋まって、抜くのにシンガリのプラドのリアウインチが必要だったが、ラダー本体に曲がりも無く30分程で全車通過した。

最大の難所を通過したのも束の間。
続く泥沼セクションでGAZの後ろZEVEX隊の先頭を行っていたコッシーのジープがクラッチにダメージを受ける。
少し冷やして再スタートするが、数km先の長いV字の泥ヒルクでクラッチ板が完全にアウトになってしまった。
CVの予備は有るがクラッチ板の予備は無い。
「さあエライ事になった!!」と青ざめても誰も助けに来てくれない。
昔やってたタバコメーカーの販促イベントのように修理班が居るわけでもない。
頼れるのは仲間と自分、皆の知恵と技術と体力が全てなのだ。

悩んでいても仕方が無いので、数10m先にあった森の隙間にウインチでジープを逃がし、ハイラックスを前へ出して牽引で移動を開始する。
プラドは自分が走るのが精一杯なのでとてもジープを牽引しては走れない。
ハイラックスも250kgのそりと、軽油が100L入ったドラム缶を積んだ状態なので本来はジープを牽引する余裕など無い。
無くてもするしか無いのだ。
負担に耐えかねてハイラックスが壊れた時点で全てが終わる。
「ポスト15」までは戦車に助けを求めることも可能だが、そこから先に選択肢が無い。
GAZは他車の牽引はできない(か、したくない)らしいのだ。

10分毎に1分間の休憩を取り、セクションではハイラとジープの縁を切って、ハイラが進んでジープがウインチで寄る...の繰り返しで前進を続ける。
もちろん前進のペースは急激に落ち、ハイラックスの燃費は1.5L/kmに悪化し燃料の計算が立たなくなって来た。
GAZに追い付けば最後の30Lの予備タンクが有るが、既にGAZは遥か先だ。

午後9時。
森の中は既に暗い。
この日の内に「ポスト15」へ辿りつくのは絶望的だし、GAZも波打ち際を夜中に走ろうとは思わないだろうから、恐らく何処かで待っているハズ。
...と思って真っ暗になったタイガ森の中を走っていると何か先で光っている。
さっきから周囲を飛んでいるフクロウの目が光っているのか?
と思ったらGAZの荷台の上で懐中電灯を振っているのだと分かった。
GAZの横には狩小屋が有った。
遅れた事情を説明して遅い晩飯を喰って就寝。
依然「首の皮1枚」の状態は続いているが、何とか今日は乗り切った。
「ポスト15」までは後30km程。
鍵を返却する必要が有るので、明日は少しだけゆっくり寝られる。



[アタック期間中に衛星電話で伝えられた速報]

2005/07/20 16:48
調査隊@ポギビ帰路の途上

一昨日(07/18)。
行程はものすごい悪路で、さらにそこへ大雨も加わり、移動は困難を極め、ウィンチが大活躍だった。
計画では途中でキャンプをするつもりだったが、この大雨なので進むことにした。
定時連絡のことも気になってはいたが、なによりも進むことを最優先にさせてもらった。

ポギビに着いたのはほとんど朝。
なんと20時間もかかっていた。

昨日(07/19)。
寝る間もそこそこ漁師小屋へ赴き、冬の残処理に着手する。
やっかいかと思われた残処理も、漁師小屋のご主人に尽力頂いたお陰でなんとかなりそうだ。

なんとかなるとはいえ、その作業にはなにかと手間のかかり、丸1日かかってしい、またもや定時連絡よりも作業を最優先にさせてもらった。

今日(07/20)。
朝、ポギビを出発し...

衛星との位置関係が良くないのか、ここで通話はとぎれてしまったので、その後の状況は明日以降の連絡で確認する事になりそうだ。 (O)


TOP