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![]() ノグリキ周辺は、石油・天然ガスの宝庫。 石油利権が絡む地域のご多分に漏れず、ここサハリンのインフレも激しい。 金持ちに資本が集中するのは世の常として、貧乏人は情け容赦無く死んで行くのが、「ああ野麦峠」時代の日本と同じだ。 [アタック日誌] 早起きが習慣になってしまったのか、この日の起床も6時半。 ちょっと酸っぱい黒パンに缶詰、蜂蜜たっぷりの紅茶。 もはや御馴染みのロシアの朝御飯だ。 キャンプをたたんで幹線道路をノグリキ方面へ南下。 コンボイは先頭にGAZ。 続いてジープを牽引したプラド。 追い抜き車両の情報を無線でプラドに送る為、ハイラックスはシンガリに付く。 南下を開始してすぐにコンボイはバール村に到着。 この日は暑かったので、水と昼飯用の食糧を追加で購入。 あれだけ買い込んだ食糧もほぼ食い尽くしてしまった。 我ながらたいした食欲だ。 ノグリキの街で給油。 往路にここで90Lの予備ガソリンを買い込んで廃道に突入した訳だが、残りは10L強しか無い。 燃費はざっくり5km/Lだ。 やはり廃道内でのジープの牽引が響いている。 ノグリキの街外れで、バール村で調達した食糧で昼食。 脂の多いコンビーフ風缶詰で作ったスープが美味だった。 夕方にティモフスク着。 往路で関野チームに弾き飛ばされたのと同じホテルに車を付ける。 もちろん予約も入れている。 ...が、またしてもここでトラブル発生。 我々が泊まるには2部屋必要なのだが、1部屋しか空いてないと言う。 ここティモフスクは夜9時にユジノ行きの夜行列車が有って、それに乗る客がまだチェックアウトしないらしい。 間宮アタックの時後発隊が利用した夜行列車の上り便だ。 「他の部屋はどうなんだ?」と聞くと、受付けのおばちゃん曰く「金持ちの日本人が1週間買占めちゃってるのよ」...との話。 札束をドンと積んで、部屋に荷物を置いて鍵まで持って行ってしまったという。 もちろん金は全額前払い。 「それ、関野吉晴って人じゃないの?」と聞くと「そうだ」と言う。 またグレート・ジャーニーかい!?まったく!行きも帰りも!! 番組中では「地元に溶け込んだ旅」風な編集がなされているが、実態はこんなもんだ。 ホテルの部屋を資本の力で独占したからと言って特段悪いとは思わないが、部屋数が多くも無い田舎ホテルの部屋数を減らす行為が、その土地の生活バランスを崩しているのは事実だ。 「自然」は「他者」を受け入れる「余裕」を持つものだが、その「余裕」を越えて自然にインパクトを与えると、いずれその「しっぺ返し」は必ず来る。 「所有権の自由な処分」や「契約の自由」は、中世以前の王権から勝ち取った民衆の「社会的なルール」であって「自然のルール」ではない。 「社会的ルール」に則った行為の全てが「自然のルール」にも則っているとは限らない。 私には、関野チームのこの行為が、ノグリキで見た山野を我が物顔で切り刻んでいた石油メジャーのブルドーザーの姿とダブって見えた。 仕方が無いので夜行列車の客がチェックアウトするまで、街へ食糧の買出しに行く。 2月の時には汚かったお店がすっかり綺麗に建て変わっていてビックリだった。 [アタック期間中に衛星電話で伝えられた速報] 2005/07/22 今晩も定時連絡はなし。 やはり作業優先で連絡出来なかったのであろうか。 留守番隊2名は、「疲れが溜まっており、連絡する間もなく寝てしまったのか」「天候や、同行している車両が要因で、未だ走行中なのではないか」と読む。 「既に街道沿いに出ているであろう」との見解もあり、さして心配する必要もないであろう。 (M) |