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[アタック日誌] 朝、心配していた事態が発生した。 昨日の夜半から荒れ始めた天候が完全にブリザードになった。 外へ出て風速を計測すると20m/sを超えている。 氷の粒が風に乗って飛んで来て、ゴーグル無しだと目が開けていられない。 この天候では、とてもじゃ無いがアタックは不可能だ。 午前中は小屋の掃除をして過ごす。 焦っても仕方が無いのはわかっているのだが、全員まんじりともせず窓の外を眺めてはため息を付く。 正午頃から若干風雪が弱くなったので、本来スタート地点と予定していたポギビ湾の出口までマシンを移動させる。 これだけでかなりの体力と電力を消費してしまった。 昨年の打ち合わせでは、吹き溜まりの無い海岸線にEVを置いてスタートする段取りだったのに、バロージャ達は小屋に一番近いポギビ湾の奥の奥までEVを引っ張って来た。 コミュニケーションが良好ならば「あこそへ置いてくれ」と話もできるのだが、何でも「金」のバロージャに通訳がワシリーではそれも不可能だった。 吹き溜まりをいくつも越えて、太陽が対岸ラザレフの方向に沈もうとしている時間になって、漸く電気自動車とそりは海上に出た。 電気自動車の冒険は、エコロジーだが実に体力が要る。 帰路の手段を含めて、夕食後ミーティングを開く。 紙一重だが、まだ横断の可能性は残っている。 残っている以上チャレンジするのが電気自動車冒険チーム「ZEVEX」の取るべき態度だ。 学者さんではないのだから、我々は「額に汗して体現」してナンボなのだ。 ![]() 疲れきった体を癒す先発隊。 ![]() ![]() できるだけ電力を使いたくないので、EVの前の雪をかき、そりを人力で押す。 ![]() 夜のミーティング。 皆が一番気にしていたのは、明日の天候でもバッテリーの残量でも無く、我々を送り出し、そして留守を護ってくれている日本に残った仲間達のことだった。 [アタック期間中に衛星電話で伝えられた速報] 03/02(Wed) アタック本隊とは、昨日に引き続き連絡がとれない状況です。 本日帰国した早帰り組からの情報によると、ポキビから南一体の乱氷帯がかなり厳しくて、移動に時間がかかり日程に遅れが出ている。 28日現在、ポギピの南約6kmぐらいまで移動してきているとの事。 なお地元の人間によると、3/1ぐらいから天候が荒れるようなので、更に日程の遅れが出そうです。 (N) |