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[アタック日誌] 撤退を決めたこの日になって、天候がどピーカンの快晴になるとは皮肉なものだ。 朝から小屋前の斜面まで戻してあった電気自動車とそりを小屋の庭まで引き上げる。 残った距離は20m程度だったが、雪が深い上に斜度がきつく、更には庭にはアンカーが無い上に、進入するには左に90度曲がらなければならず、4WDオフローディングの水準としても、かなり高水準なタスク内容だった。 基本はチルでテンションを出して軽く駆動アシストを入れる、すかさずチルを引く...の繰り返し。 途中でユジノで買った荷締め機や日本から持ち込んだ滑車まで使って、何とか最後の直角左折もこなして、お昼には無事小屋前のスペースにEVとそりを回収した。 昼飯を済ませ、残り作業の陣頭指揮は谷口社長に取って頂くことにして、私(鈴木)は村外れに有る飛行場(...と言うか只の空き地)へ向かう。 予定している7日の函館便に乗ろうとすると、明日チャーター機でティモフスクへ戻るワンチャンスしか可能性が無い。 天候は良さそうだが滑走路の積雪状況が心配なのだ。 結論は「まあ何とかなるだろう!?」...実は飛行機会社と連絡が取れなくて、本当に明日飛行機が来てくれるのかどうかも確認が取れていないのだ。 母屋のおっちゃんは「来ればわかるよ」とのたまう。 「もし来なかったらどうしよう?」とかは考えないのだ。 素晴らしい人生だ。 この日の晩は母屋のおっちゃん(ビリカーノフ氏)宅でご馳走になる。 小屋に戻った後、しばらくするとビリカーノフ氏も小屋に来て、小久保さんの通訳でおっちゃんを囲んで随分長い時間歓談になる。 おっちゃんの「足ることを知る」人生訓には、ZEVEXが体現するコンセプトなど、まだまだ子供騙しだと思い知らされる存在感が有った。 貸借対照表にも記載されず、GDPにもカウントされない「豊かさ」が確かに有ることを思い知った。 ![]() ![]() 小屋の敷地へ入る最後の部分では、斜面から直角に左折して進入する。 ここのライン組みが一番難しかった。 ![]() 斜面はこんな感じ。 凍った海面から約10mの標高差の海岸段丘を登り切るわけだ。 真ん中のごっそり掘れている部分の雪は、載ると腰まで埋まる。 ![]() 「ひっぱり系」の名付け親として、4WD電気自動車冒険家として、ここは面子を掛けて頑張るアイアン・バール鈴木。 ![]() ![]() ![]() 「チル」も「荷締め機」も「滑車」も「S字フック」も「ストラップ」も、用意したものは見事なくらい全て使ったレスキュー作業だった。 ![]() 夕食後は小屋に尋ねて来たビリカーノフ氏(右)を囲んで懇談会に。 「本当の豊かさ」とは何か?について考えさせられる、実に有意義な一夜だった。 [アタック期間中に衛星電話で伝えられた速報] 03/04(Fri) 現地からの情報が入り次第更新いたします。 (N) |